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Pearl Journey -AMAKUSA

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Pearl Journey -AMAKUSA

Whites of Sea



美しい海に浮かぶ、大小120余りの島々。熊本県の南西部に位置する天草地域は、その豊かな自然環境の中で、古くから真珠養殖が盛んに行われてきました。深いリサーチと物語の構築から作品へと昇華するデザイナー・アーティストの本多沙映は天草に魅せられたうちの一人。現地へのリサーチトリップへと赴き、その独自の自然と文化の中に、複雑な「白」の色を見つけました。

 

 本多さんとともに訪れたのは、ARTIDA OUDの新作「philia」に使用したバロックパールを生産する平山海洋。2001年より天草の地で真珠養殖を始めて、今年で25年になります。パールは、ジュエリーの中でも唯一と言える海からの恵みが生み出した産物。その存在感は、「ありのままの美しさ」というブランドコンセプトを体現するものです。



天草市下浦町で養殖場を営む平山貢さん(左)と剛さん。

 

平山海洋が現在拠点とするのは、天草市下浦町(しもうらまち)。美しい島並みに囲まれた穏やかな湾内に養殖場はあります。主に養殖を担う父の剛さんとともに、関連会社REENS PEARLの代表として真珠の流通・小売まで手がける平山 貢さんは、ARTIDA OUDとの協業を進めてきました。今回の新作では、自社のバロックパールが採用されると聞き、喜びも大きかったと語ります。

 

「ほぼ球体に近いラウンドパールと比較すると、手に取りやすいのが、不定形のバロックパールです。ですが僕自身は、バロックがとても好きです。ひとつずつ異なる個性が魅力的だし、何より美しいですよね」


平山海洋のバロックパールが、新作コレクション「philia」に。ひとつずつ個性の異なる表情が魅力。

貢さんが語るように、形が不定形なバロックパールは、養殖した全体の1割程度の生産量となるラウンドに比べると比較的多く採れるそうです。ですが、母貝を仕入れ、養殖し、真珠の核を挿入して育つまで、約3年の月日を要する真珠養殖。「養殖した真珠のうち、製品になるのはその6〜7割」という貢さんのお話からすると、その手間と希少性に変わりありません。

 





アコヤ貝に、道具を使って1つずつ「挿核」と呼ばれる作業を行っていく。「非常に熟練が必要な作業で、養殖の精度がかなり変わってしまいます」と貢さん。



ブルーグレーや淡い乳白の中に、深い輝きを湛える真珠の表情。


そんなアコヤ貝を母貝にした天草真珠は、柔らかな光を宿すテリが特徴です。
有明海・八代海・東シナ海という性格の異なる海に囲まれ、穏やかな海域と豊富なプランクトンに恵まれています。その天草特有の豊かな海が、光沢に優れた真珠を育てるのです。

 

「真っ白というより、奥深い光を内側に秘めた複雑な白を感じます」と話すのは、デザイナー・アーティストで、アルティーダウードの新作とともに今回の旅から得たインスピレーションを作品として発表する本多沙映さん。「白の複雑さが、天草の海の豊かさそのものなんですね」と続ける。

 

真珠はオフホワイトから少しピンク味のあるもの、ブルーグレーのような深みのある色まで、個体差があります。

 

「ブルーグレーの色は、元々パールジュエリーが好きな方に好まれるように思います」と貢さん。今回の新作ではリング、ピアス、ネックレスをニュートラルなホワイトカラーと同時に展開。

 

近年では、ビッグメゾンや世界的ジュエラーもバロックパールを使用したアイテムを発表しており、フォーマルなシーンでの使用はもちろん、その有機的なフォルムからエフォートレスな日常着にも合わせやすく、人気はますます高まるばかりです。


養殖場まで船で案内をしてくれた貢さんと、デザイナー・アーティストの本多沙映さん。

「一方で、真珠養殖を巡る状況は非常に厳しさを増していると思います。課題は担い手不足、そして海の環境の変化です」と貢さん。3年ほど前、伊勢志摩を訪れた際にも話題となった海の急速な変化。ここ天草でも、状況はとても似ています。




平山海洋で働く20〜30代のスタッフ。養殖カゴの引き上げ作業は重労働ですが、テキパキとこなす。

 

「海水温は年々確実に上昇しています。養殖場付近の赤潮の発生頻度が上がっています。単純に海水温が上がることは、アコヤ貝へのストレスリスクが増えるため、養殖の難易度が以前より上がっていると感じています」



パールの輝きの中に浮かぶ深い白の世界。海の恵みと人の手が重なり合って生まれる奇跡に、本多さんは多くのインスピレーションを持ち帰りました。




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