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Pearl Journey -AMAKUSA

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Pearl Journey -AMAKUSA

Whites of Earth


デザイナー・アーティストの本多沙映さんは、真珠養殖を行う平山海洋を後にし、天草の自然や文化を知る旅を続けました。その途中で、世界でもここでしか採れない石、天草陶石に出会います。陶石との出会いから、本多さんは限定25点の特別なジュエリートレイを制作しました。

 

天草下島の北西部、富岡半島の天草灘側に位置する白岩崎海岸。天草陶石が海岸に露出する。

天草の島々は、5つの橋で九州本土と繋がっています。橋を渡り、海岸線を走る車窓からは、常に穏やかにゆらぐ海の風景が広がります。その道中、一面真っ白な石で覆われた海岸が突如として現れました。

「ここが天草陶石の海岸ですね」

本多さんはすぐにそう反応しました。ここは、陶磁器の原料で、天草が世界有数の産地として知られる天草陶石が一面に広がる「白岩崎海岸」の一帯でした。石英やセリサイトなどを適度に含み、単体で磁器にすることができる天草陶石は、希少な原料として日本の陶磁器産業を支える存在です。

 

「私が以前大量発生し磯焼けの原因となるウニ殻を釉薬に用いた陶器の作品《Rebuilding Ocean Hue》を制作した際、協力してくださった波佐見焼のメーカーが天草陶石を使用していて天草陶石のことを知ったんです」

と本多さん。波佐見に隣接し、日本有数の陶磁器産地として知られる有田でも、有田焼と称されるもののほとんどに天草陶石が使用されています。

 

「透き通るような白くきめ細かい有田焼の白磁は、天草陶石の純度の高い白さから生み出されるものなんですね」と本多さん。白岩崎海岸の白さは、この陶石が自然と海岸に露出しているものなのです。

 

私たちは、さらに天草陶石を知るため、採掘事業を行う上田陶石を訪れることにしました。元は庄屋としてこの地を治めたという上田家の家業として、 1712年ごろに事業を開始した上田陶石。古くは当主だった上田宜珍が、伊能忠敬を含む測量隊の接待役や支援を行い、同時に測量技術や地理の知識を学んだという古い歴史があります。



上田陶石が窯元となる高浜焼(寿芳窯)に併設する資料館で説明を受ける本多沙映さんと長年勤務する田﨑義克さん

 

肥前の窯元に供給したのが製陶原料としての始まりとされ、日本を代表する磁器の素地原料として約300年使われてきました。現在は、日本に3社しか存在しない採掘業者の一つで、高浜焼の窯元として自社製品を製作しながら、日本の磁器文化を長く支えてきました。



上田陶石の採石場。等級ごとに採掘した石が積まれている。

 

「陶石は、鉄分などの不純物がもっとも少ない原料を特級、それ以下1等から5等までの等級に分けます。伝統ある有田焼の窯元では、特級以外の石は使用しないところもあります」

と話すのは、上田陶石に長年勤務する田﨑義克さん。現在は、敷地内に立つ資料館の館長を務めています。




採掘されたばかりの陶石をつぶさに見る本多さん。赤く見えるところが鉄の成分が露出したところ。

 

「等級の低い石は、脱鉄という鉄分を抜く工程を経て、不純物を取り除いて出荷すると聞きました。その作業も自社で行っているのですか?」と本多さん。

 

「石の赤く見える部分が鉄分です。脱鉄工程は現在は協力会社にお願いしていますが、以前は自社で行っていました。3、4等級の石でも、この工程で1等級程度の石になります」と田﨑さん。陶石の白い色もまた、自然と人の手が重なり合って作られることを知った本多さんは、この地に息づく色、「白」の存在を意識するようになりました。

こうして完成したのが、1点ずつハンドクラフトで制作した、有機的なフォルムを持つジュエリートレイです。

 

「天草で視察した鉄分配合率が違う3種類の陶石を使って生地を作りました。釉薬には、天草の真珠の母貝であるアコヤ貝を使用しています。表面の波のような模様は、アコヤ貝の貝殻のテクスチャーを、直接押し当ててつけたものです」と本多さん。

 

異なる個性が陶器の表面に現れ、ひとつだけの表情を生み出す。その様子は新作コレクションを彷彿とさせます。



釉薬の少し青みがかった色彩と、波打つような貝殻の模様は、天草の穏やかな海の風景のようでもあり、新作ジュエリーを置けば、お互いのもつ魅力をさらに高め合うものになるでしょう。

 

天草市天草町大江にあるキリシタン大江教会。禁教下の大江で密かに信仰を受け継いできた信徒たちが、フランス人宣教師のフレデリック・ガルニエ神父とともに建設した。

 

天草の地にキリシタン文化が上陸したのが今から約460年前。旅の途中、当時からの面影を残す崎津集落や、その中の教会やマリア像が、真っ白な姿で立つ風景をいくつも見ました。潜伏キリシタンたちは、信心具として布やアワビの内側の真珠層の白を聖母に見立てるなど、白さに清さを見つけ、その自然の恵みが信仰の継承を支えてきたのです。


<cap>本多さんが制作したジュエリートレイ。全25点を限定制作した。右上から時計まわりに トレイ M(φ21 × H5cm) ¥27,500 トレイ S(φ19cm) ¥9,900 トレイ S(φ17cm) ¥9,900 トレイ L(φ30 × H15cm) ¥38,500

 

自然と人の手が長い歴史の中で大切に育んだ天草ならではの複雑な「白」。そのインスピレーションを、今回の作品づくりに込めた本多さん。4型は、高台つきのものがそれぞれ1点ずつと、平皿のタイプが大小1点ずつ。



Exbition

渋谷区松濤に構えるARTIDA OUDの悠久の体験型空間「THE ANOTHER MUSEUM」にて、熊本・天草にフォーカスしたExhibitionを開催いたします。天草のパールを使ったジュエリーをはじめ、フォトグラファー井上 昌明氏の写真の展示、およびSae Hondaによる磁器作品の展示販売をいたします。<磁器作品の販売は、THE ANOTHER MUSEUMのみで予定しております。>


Date:

11月4日(水)〜11月28日(土)

Place:

THE ANOTHER MUSEUM

東京都渋谷区松濤1-26-21 MAP

Tel:

03-6804-8090

Hours:

11:00-19:00 (不定休)

営業日カレンダー

Contact:

LINE(THE ANOTHER MUSEUM)




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