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繊細な凹凸と流れるような曲線が、物語を刻むようなジュエリーたち。
蜜蝋という日本の金属工芸技法を用いたコレクションは、ミニマルで力強く、職人技が光ります。ゴールドの凛とした輝きと、手仕事ならではの温もりを融合させたジュエリーが登場しました。

“ancient” アラビアの王たちの悠久の文明の証。黄金に輝く古代の財宝。

今回、わたしたちは蜜蝋造形職人のもとを訪れ、目の前で職人技に触れて参りました。新作ジュエリーとともに、日本の金属工芸技法である蜜蝋についてご紹介させていただきます。
2025Autumnコレクションで発売するのは、リングが2型とピアス、イヤーカフ。

まさに引き目の美しさが生み出したデザイン。その表情を存分に引き出すジュエリーに仕上げています。

[ancient] mitsuro ring 24,200yen (with tax)

[ancient] mitsuro spiral ring 27,500yen (with tax)

[ancient] mitsuro pierced earring 27,500yen (with tax)

[ancient] mitsuro ear cuff 29,700yen (with tax)


オリエンタルなムードを纏ったジュエリーは、蜜蝋という特別な素材を使ったデザインと卓越した職人技から生まれました。

その蜜蝋造形の中心を担い続けているのが、「ともやすアンドカンパニー」。
今回のコレクションで、蜜蝋の技術を用いたジュエリーの原型をご依頼させていただいた、代表の友安さんと、ベテランの職人である、松本さん、田中さんの3名にお話を伺ってきました。蜜蝋がみせる唯一無二の魅力をご紹介いたします。



―美しさは、引き目に宿る

蜜蝋とは、ミツバチが生み出す天然のロウ。その蜜蝋と松ヤニ(マツの木から採れる天然樹脂)を混ぜて作ったワックスを適温で温めながら力強くこねて、手で引き伸ばしていきます。その蜜ろうに現れた引き目を造形し、鋳造してジュエリーへ。

滑らかでありながら繊細な造形が可能であるその特性を活かし、ジュエリーの原型を形づくっていきます。


しかし、ただ引くだけでは、美しい引き目は生まれません。

「ジュエリーは細く、小さな面に複雑な凹凸を出す必要があります。蜜蝋の引き方、計算された手の動き、美的感覚が問われます。」

素材そのものが持つ特性を読み取り、引き目の“目”を美しく仕上げること。それは、職人の感覚と経験が織りなす賜物です。

―同じものは、二つとない
引き目は、一度限りの模様で、二つとして同じにはなりません。
気温や湿度、蜜蝋の状態、職人の手の癖。そのすべてが相まって、ひとつの造形が生まれます。だからこそ、そこに宿る個性と一期一会の美しさが、ジュエリーに命を吹き込んでいるのです。





そして、引き目で造形した型を鋳造してジュエリーに。きめ細やかで優雅な線や曲面を金属に置き換え、最後の仕上げにあたる磨きは、作品の命に魂を吹き込むような緊張感のある重要な作業です。

ジュエリーの仕上げは、機械を使わず、ヘラを用いた手作業。表面の凹凸の出方を微調整しながら、最終的なフォルムに近づけていきます。


「蜜蝋の状態で綺麗でも、金属にした時に表情が変わってしまうこともある。最終形を見据えて、蜜蝋の段階で想像してつくる。それがこの技術の面白さであり、難しさでもあります。」


―ARTIDA OUDのコレクションに込めた思い


ARTIDA OUDの Autumnコレクションのためにお作りいただいたデザインは、中央の膨らみから両サイドにかけてみせるグラデーションなど、シンプルなフォルムの中に高度な蜜蝋技術が込められています。


「何度も施策を重ねた中から、選び抜いた引き目です。」

シンプルという要望を受けつつも、そこに個性を出すにはどうしたら良いか、いくつも作った中から、選ぶ作業にも相当な時間が費やされました。蜜蝋ならではの柔らかな表情が、金属になっても損なわれないように。そこには職人の緻密な計算と、妥協なしの拘りがあります。



―蜜蝋とともに歩んできた人生


もともと陶芸をしていたという職人は、「柔らかい素材のものを手で造形する面白さ」に魅せられ、蜜蝋の世界に飛び込んだといいます。

「天然のもので作っているので、自然に寄り添っている感覚。天然素材を使っているので、自分本位にはできません。気温や湿度によっても変わる蜜蝋と向き合いながら、その中で美しいものを見つけていく、そのプロセスが楽しくて仕方ないです。」

―技術を、次の世代へ


蜜蝋造形、そして“引き目”という表現が、ジュエリーデザインのスタンダードになっていってほしい。そんな思いを、ともやすアンドカンパニーの職人は語ります。


「この技術を守り、伝え、広げていきたい。蜜蠟にしかない雰囲気に驚いてもらえたら嬉しいですし、技法の一つなので色々なところで、色々な解釈で蜜蠟が出てくると嬉しいです。そして、もっと多くのジュエリーの中に蜜蝋の表現がある未来を願っています。」

「蜜蝋で作ったジュエリーはただの装飾品ではなく、時を重ねることで深みを増していく“相棒”のような存在。美しい葉っぱを見て何かを感じるのと同じで、一日の一瞬でもこれ好きなんだよね、と思えるものになっていってほしいです。私たちは長く使ってもらえるものをつくることも使命だと思っています。好きなものと長くいられる方が幸せです。お手入れをしながら使う人のそばに長くいたら、嬉しいです。」


蜜蝋のテクニックは動画配信なども増えた今、世界中で注目を浴びています。ともやすアンドカンパニーに技法を習いにくる大半は海外からだと伺いました。日本の金属工芸技法から生まれる美しい造形が、もっと国内でも注目を浴び、その担い手が増え、技術が継承されて国内でも発展していくことを願っています。

蜜蝋と職人の手が育んだジュエリーは、優美さと力強さを秘めています。その引き目が紡ぐ、唯一無二の輝きをぜひご堪能ください。

“ancient” 蜜蝋コレクションはこちら


▪︎トモヤスアンドカンパニー・HANAno
蜜ろうを原型に用いた蝋型鋳造によるジュエリー創作や、公園などの環境造形など「造形」への探求を続けている。また『自由な発想とスタイルで良質なものと過ごす日常』をテーマに、蜜ろう造形を中心にライトジュエリーブランドのHANAnoを展開している。

HANAno:https://tacfamily.theshop.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hanano_tachikawa/

 

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