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Priti / インドのペーパープロダクト「CRAFT BOAT」代表

interview

Priti / インドのペーパープロダクト「CRAFT BOAT」代表

混沌とした未来をポジティブに過ごせるように――

2021年冬、ARTIDA OUDが制作した「FORTUNE GEM」。インド・ジャイプールのペーパークラフトブランド「CRAFT BOAT」のプロダクトを用いた6種のお守り袋に、11種のカラーストーンと石の持つ意味が書かれたメッセージを添える。66通りの組み合わせのお守りを、ランダムにご購入者の方にお届けした。

カラーストーンは、ジュエリーにするには小さい、捨てられる運命を迎えるはずだったもの。でもたしかに、強い力を内に秘めている美しい煌めきを放つ。



インドの伝統的なクラフトマンシップによる「CRAFT BOAT」は、ひとりの女性の想いから立ち上げられた。ブランドの代表であるプリティさんに、ARTIDA OUDとの出逢いや、プロダクトに込めた想いをメールで伺った。遠く離れた場所にいても、世界を、地球を想う優しい気持ちは共鳴していく。




私にとってのサステナビリティは、すべてのデザインの魂


―――ARTIDA OUDと「FORTUNE GEM」のお取組でご一緒しています。ブランドとの出逢いについて教えてください。

 

共通の友人が、ARTIDA OUDディレクター/デザイナーの安部真理子さんと引き合わせてくださって、インド・ジャイプールのスタジオでお会いしたのが最初です。


 

―――最初にARTIDA OUDのジュエリーを見たときの印象はいかがでしたか?

 

初めてお会いしたとき、真理子さんはARTIDA OUDのブランドについて簡単に話してくれたんですが、すべてのピースを見た瞬間に、そのシンプルさとジュエリーの持つストーリー性に恋をしました。彼女の説明はとてもわかりやすくて、短い言葉からも、ARTIDA OUDのジュエリーが単なるアクセサリーではなく、深みのある、素晴らしい物語を併せ持ったアート作品であることがわかりました。

 

 

―――ARTIDA OUDのジュエリーは、インド・ジャイプールの職人さんに手作業で作っていただいているものがほとんどです。プリティさんのスタジオで制作されているインドの伝統的な紙職人さんの技術、また紙は、どのような技術の特徴があるのでしょう?

 

サンガナー(ジャイプール)の紙工芸は、インドでのムガル帝国の時代に始まった工芸品です。当時の紙工芸は「カガジス」と呼ばれる製紙コミュニティによって作られていました。 サンガナーにおける製紙工芸品はユニークで、すべてのシートが100%リサイクルされた綿織物廃棄物から作られているため、製紙業界で特別な位置を占めています。「CRAFT BOAT」では、繊維メーカーやガーメントハウスと密接に協力しあって、廃棄となった綿織物のスクラップをリサイクルし、紙パルプに変換したものを文房具や室内装飾品の紙製品に使用することで、この伝統工芸を推進してきたんです。



―――プリティさんはもともとアパレルのお仕事をされていたそうですが、なぜ「CRAFT BOAT」を始められたのですか? サステナブルへの想いをお聞かせください。

 

私はファッションデザインの卒業生であり、はじめはアパレルブランドのデザインコンサルタントとして働いていました。常に自然のサイクルと何かが作られるプロセスについて興味を持っていたんです。大学時代に衣料産業について詳しく見たとき、なぜこの産業であまりにも多くのものが生産されているのか理解することができませんでした。デザイナーが急いで製作しているのを見て、私は本当に考えさせられたんです。

 

 

―――何かご自分で作られたことは?

 

母が25歳のときに着たサリーを使って卒業コレクションを作りました。これがリユースの最初のアクションです。それからより多くの方法を見つけながら、テキスタイルをリサイクルすることから始めました。私が学んでいるサステナビリティとは日常の行動を意識的に選択し、自然環境と調和することです。サステナビリティなデザインは、すでに存在するものを改めて作り直したり、やり直したりするやり方を学ぶことで、生涯をかけて使えるものになります。どんな問題を解決しようとしているのか、その製作によってどのような価値を付加しているのかを知らずに、急いで作ることだけを進めていくと、メーカーと目的、さらにはアイデアの精神が切り離されるだけだと感じます。ですから、私にとってのサステナビリティはすべてのデザインの魂です。



―――どのようなプロジェクトがあるのでしょう?

 

「CRAFT BOAT」でのプロジェクトでは、スクリーン印刷、マーブリング、ブロック印刷などすべての工程で、手染め技術に天然の綿と、天然の染料の使用を中心にしています。





―――インドの伝統的なプリント技法“ブロックプリント”を採用されているそうですが、どのような技法なのでしょう?

 

ブロック印刷は、綿や紙にの手彫りの木版(ブロック)でインクを押し付けて印刷するスローな作業です。複雑な花柄や幾何学的なデザインを木版に手彫りしていきます。これらの木版は、さまざまな色でパターンを繰り返し印刷していくために使用されます。これは非常に時間のかかるプロセスであり、出来上がりは唯一のものです。印刷するとすべての木版がデザインを手描きのように見えるんです!





―――さまざまなパターンがありますが、どんな想いを込めてパターンを作られているのでしょう?何かインスピレーション源はあるのでしょうか。

 

デザインのほとんどは、インドの大好きな花からインスパイアされたものです。私は、さまざまな季節に成長するのを見るのがとても好きなので、自分のコレクションをデザインするたびに、幾何学的な線やグリッドを使って花を足すように努めています。そのためコレクション全体を見ると、色は自然界からインスピレーションを得ており、花柄では、ストライプからチェック、シェブロンまでさまざまなパターンのグリッドをコーディネートしています。





―――お気に入りの作品を挙げていただけますか?

 

私はブーゲンビリア模様のノートブックが大好きです。この複雑なデザインは、木製のブロックに手彫りされ4つの異なる色を使用して印刷されています。ジャイプールは、ブーゲンビリアが街に豊富に咲く季節に最も美しいです。



また英国のブランド「rosi-de-ruig」とのコラボレーションで作った、手作りのマーブリング紙のランプシェードが大好きです。





植物ベースのナチュラルカラーで染色することは、わたしたちのスタジオでほぼ3年間続けている研究です。私の興味を非常にそそるものです。



―――ARTIDA OUDはドネーション活動をしています。昨年、『インドに学校を建てるプロジェクト』が目標金額に達し、いまはインド北東部・ビハール州に「子どもたちの教育環境改善プログラム」を始動しました。インドの現状や、課題について教えてください。

 

インドの子どもたちのための正しい教育は、大切な関心事のひとつです。インドの都市部と農村部の両方で、識字率と知識に触れる機会をもっと改善するために多くの挑戦がさまざまな方法で行われていることはとても前向きに感じています。インドは非常に根深い伝統を持つ複雑な国なので、時にはもっと長い時間をかけて変化を起こす必要があると思います。教育はその分野のひとつであり、特に女性の教育は依然として多くの家族にとって問題となっています。女性への教育を透明性を持って続けているARTIDA OUDのようなブランドとのコラボレーションができることは、私にとって本当に名誉なことだと思っています。



―――今後表現したいこと、これから実現したいことはありますか?

 

いつの日か、私たちが母なる地球から消費するよりも多くのものを、この一生で母なる地球に還元できるようになることを夢見ています。



自分の肌や色をシンプルに受け入れること

 

―――このブランドは”raw beauty=華美に飾らず、ありのままの女性の美しさ”をテーマにしています。Pritiさんにとって、「"raw beauty" = ありのままの美しさ」とは何ですか?

 

「自分の肌や色をシンプルに受け入れること」です。

 

―――上記の意味で、美しいと思う女性はいますか? その人のどんなところを美しいと感じますか?

 

私の母親ですね。私は彼女が最高に美しく、そして無邪気に老う姿を見てきました。彼女は主婦であり、気品に満ちた人生に恵まれました。彼女は1年前から血液の病気と闘っていますが、いまだに美しい笑顔を絶やさず、子どものような目線で世界を見るのが大好きなんです。

 

 

―――“ありのままの女性の美しさ”には、内面の美しさもあると思います。
自分を育ててくれた言葉や、本、映画などありましたら教えてください。

 

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』です。



―――さまざまなフィールドで頑張る女性へ、メッセージをお願いします!

 

最終的に、私たちは皆、自分たちが思っている以上に耐え忍ぶことができます。インドからあなたに愛とありのままを愛するポジティブさを送ります。たくさんの方法をもって、あなた方のシンプルさと伝統で、私をインスパイアしてくれてありがとうございます。笑顔はどんな怒りも超える。日本のことわざである「笑う門には福来る」は私の大好きな言葉なんですよ。

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PROFILE


Priti(CRAFT BOAT)

リサイクルペーパーを使用した、インドの伝統的なクラフトマンシップによるプロダクト「CRAFT BOAT」代表。インドらしい色鮮やかな柄と、どこか優しさを感じさせる美しいペーパークラフトを手がける。

Instagram

 

 
PHOTOGRAPH/CRAFT BOAT
EDIT/RIDE MEDIA&DESIGN
TEXT/MAHO MORITA & HIROKI TAJIRI FROM 81journal , HANAKO FUJITA

 

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